アイドルマスターを好きになってから約14年、ラブライブ(虹ヶ咲)を好きになってから3年が経過した、このタイミングでまさか公式がこういったコラボをやってくるとは一ミリも思っていなかった、というのが正直なところです。
この両作品は自分に取ってはやはりかなり『特別』な存在というか、厳密はここに『アイカツ!(特にアイカツスターズ)』を含めてですが、この14年間、自分の趣味における興味の中心は二次元アイドルにありました。
そういう意味で、ライブの中身がどんなものになるか、というのはともかくとして、このライブは自分の中でかなり特別な意味合いを持つものになってしまいます。
例え、ライブ本編がお祭り騒ぎ的なもので、いわゆる文脈的な意味だったりとかを含まないとしても、です。
だからこそ、このタイミングで私はある意味この14年間を総括する、いいタイミングなんじゃないか、と思いこの記事を書かせていただいています。
二次元におけるアイドルとは本質的に『物語』である
まず、私の前提条件なのですが、アイドル(今後、本記事では特に断りが無い限り単に『アイドル』といった場合、二次元のアイドルを指すこととします)とは物語だと思っています。
憧れから始まり、壁にぶつかり、成長し、乗り越える、この基本的なサイクルを行っていない作品というのは少なくとも私の知る限りでは存在しません。
自分の目標を達成することであったり。
自分を叶える、すなわち自己実現を為すことであったり。
憧れを繋いでいくことであったり。
作品によってテーマや主題は異なりますが、アイドルたちがステージ上で物語を紡いでいくことは変わりありません。
そのステレオタイプは、それこそ初代『アイドルマスター』や『μ’s』のころから揺るがない現代的なアイドル作品の根幹になる部分でしょう。
もちろん、このフォーマットに則っていないアイドル作品も存在しますが、そういった場合そもそも作品のメインテーマがアイドルではないことが多いように感じます(例:『推しの子』『推しが武道館いってくれたら死ぬ』)
でも、考えてみると別にこういった物語構造って、アイドル特有ではないんですよね。
スポ根モノに始まり、昨今のなろう系の無双モノ作品を例外とすれば、主人公が何者かに憧れ、壁にぶつかり、成長し、乗り越える事自体はありとあらゆるジャンルで取り入れられているものです。
というか、それがアイドル以外のジャンルでも可能だということは『幻日のヨハネ -SUNSHINE in the MIRROR-』というアニメが証明していますし。
物語の構造についての私の考え方に近いものとして、内科部長氏のブログをよく引用するので、今回も引用しておきます。
構造と物語 -劇場版アイドルマスター輝きの向こう側へ 感想その2 | 内科部長室
このブログの中で書かれている、
1. 分離・旅立ち
2. 通過儀礼・試練
3. 帰還
という組み立ては、少なくともアイドルマスター、ラブライブ両作品のほとんどに当てはまるものに感じています。
虹ヶ咲で言えば、アイドルに憧れ、皆を応援することを選んだ高咲侑が、SIFを経て最終的に自分の夢を見つける、という部分に帰結するという構造でしょうか。(一方で、その帰結がまた高咲侑の新しいステージの旅立ちでもあるのですが)
アイドルの物語の特殊性
では、その上で、アイドルにおける物語の特殊性はなにか、言い換えればアイドルでしか表現出来ない物語は何か、というのであれば、その物語に『干渉』することができるかどうか、ということだと思います。
『干渉』はあるいは『参加』と言い換える事ができますし、アイマスシリーズはそれを「プロデュース」という形で実現し、ラブライブシリーズは「みんなで叶える物語」をスローガンに「あなた」に参加を求めるという形で実現しています。
これは、3次元のリアルアイドルたち、というかいわゆるAKB商法的なところも近い部分があって、我々を彼女たちのサクセスストーリーの「共犯者」とすることで、我々の様々な感情をくすぐるわけです。
例えば、アイドルたちに必要とされているという自尊心であったりとか。
アイドルたちを派手に応援することで得られる自己顕示欲であったりとか。
アイドルを中心としたチームに参加して得られる所属欲求だったりとか。
そういった我々の様々な社会的欲求を満たしてくれるのが『アイドル』なわけです。
社会的な話をしたいわけではないですが、バブル後のいわゆる失われた30年、3.11以降に始まる「不安」の時代や、ロシアのウクライナ侵略戦争に始まる国際的な不安、少なくとも私は生まれてきて30年強の中でもっとも強く戦争の危機というのを肌感で感じています。自分が生きている間に戦争は起きない、と断言するのが難しくなった。
正直明るい未来を想像するほうが難しい時代に、彼女たちが見せてくれる明るい未来に抗うには、あまりにも我々の心は弱い。
デビュー曲のCDが約400枚しか売れない中、最後は紅白出演にまで至ったアイドルグループとか、アニメ化の予定がなかったのに視聴者からの支持でアニメにこぎつけたグループとか、アニメが期待されていたにも関わらず、永遠にアニメ化されず10年経ってようやくアニメ化を実現したグループとか、そういう明るい物語に光を見るのは当たり前、そう私は思えてならないです。
「次はあなたの番!」と「PROJECT IM@S 3.0 VISION」
でも私は、それだけで終わって良いのか?という疑問をここ最近感じるようになりました。
特に、今年に入ってから、きっかけはアニガサキ2期のランジュのセリフです。
「同好会で夢を叶える、そう言っていたのに、今のあなたは周りに自分のあなたの夢を重ね合わせてるだけよ。あなたはそれで満たされたとしても、何も生み出してないわ。」
ランジュさん、こう、ド正論で人をぶん殴らないでください。泣いてるオタクだっているんですよ。
本当にアニガサキ2期はオタクに厳しいアニメやでぇ……
確かに、アイドルを応援することそのもので、我々は何も生み出していません。
多くの人が、自分の好きなアイドル、好きな作品を広める為に広報活動をしているのと同じように、自分も春日未来でTATBTCと役を取らせる為に奔走したり、自分の思うアイドル像をブログに書き連ねたりしていますが、それは春日未来、というアイドルに夢を重ね合わせているだけで、何も生み出していないんですよね……
最終的に虹ヶ咲の、高咲侑の出した結論は、『皆も自分みたいに自分を表現できる人間になりたい』ということで、侑はアイドルたちからもらった勇気や元気で、自分にしかできない表現にチャレンジする、つまり侑もまた表現者(=スクールアイドル)であるという結論に至りました。
そして、「次は、あなたの番!」というセリフでコチラ側にすべてがぶん投げられて作品は締められるわけです。
つまり、アニガサキの「続き」はアニガサキを受け取った皆さんが、その先何を為すかに託される、という結論で終わります。
この辺のはなしは、ろっぷるさんのコチラの記事も読んでいただくことをおすすめします。
この二期を経てしまったからには、自分の中で、アイドルへの物語の「参加」のハードルが大きく変わってしまったというか、ただ「応援」や「プロデュース」するだけでなく、そこから受け取ったことで「何をなすか」ということが本当の意味で重要なのではないか……というのが自分の考えになりました。
そのアニガサキ2期が終わった半年後に、アイマスでも大きな出来事がありました。「M@STERS OF IDOLWORLD!! 2023」(以下、MoIW2023)と「PROJECT IM@S 3.0 VISION」です。
3.0 VISIONについては、以前の記事でも書きましたので、そちらもどうぞ。
その中で掲げられていた「CRE@TE POWER WITH YOU! あなたらしさが、きっと誰かの力になる。」という標語があります。自分がアニガサキの二期を見ていたからこそ、この標語をスムーズに理解する事ができました。
あなたらしさが誰かの力になる、『プロデュース』を通じて、我々の個性が求められる時代になるのではないか、あなた自身が何者か、何を為せるのかを問われているのではないか、と。
それは根っこの部分での考え方はアニガサキ二期の「次は、あなたの番!」と共通するものがある、と私は考えています。
そして、3.0 VISION のその標語を体現した最たるものが、「ヴイアライヴ」だと私は思っています。
これについては、フサギコPのブログが詳しいのですが、ヴイアライヴは正しく我々が何を為すか、というのが問われている作品です。
自らの『プロデュース』に基づき、他者に影響を与える事ができる……という意味で、ヴイアライヴのアイドル候補生たちは我々と「同じ時間を生きている」ということが出来ます。
「同じ時間を生きる」ということに関しては、蓮ノ空も同じです。
アプローチは違うものの、ここまで読んでもらった皆さんにとっては、「同じ時間を過ごす」ということの重要さは、なんとなく理解してもらえるんじゃないかな
ただこの理解、正直自分がアイドルマスターとラブライブ、両方に触れていたからこそ理解できるものであって、多分、片方しか触れていなかったらたどり着かなかった結論だと思っています。
だからこそ、自分にとってこの両作品のコラボというのは尋常ではなく大きな意味を持ちます。
この2つをつなぎ合わせて、自分なりの結論を出すというのは正直私の中でのみ処理されていることであり、異次元フェスがなければ、こんな話をブログに残すこともなかったでしょう。
私の、挑戦。
さて、ここからは私自身の話になります。
「次はあなたの番!」とバトンを託された自分。
「あなたらしさが、きっと誰かの力になる。」と、自身の個性を要求されたプロデューサーとしての自分。
何をするか、というのは大分迷いましたが結論としては、「両作品を大好きだと言い張れる自分だからこそ、表現できる物があるんじゃないか……」というものでした。
その発露の形として、自分が始めたイベントが、「TOKIMEKism」と「ORIGIN@TION」という「アイマス」「ラブライブ」2つのイベントを同会場で併催するフェス形式のイベント、でした。
正直、これでいいのか?本当はアイマスにもラブライブにも頼らずになにか新しい挑戦をするべきなのでは?という迷いがないわけではないですが……俺は弱い……!
とりあえず、足元、自分が出来そうなところから一歩ずつ踏み出していくのが自分にとっては精一杯ですが、その一歩がきっと大切なんじゃないかな、とそう思っています。
それはさておき「異次元フェス」DAY1の終演後には、「打ち上げDJ」さんとコラボした打ち上げイベントも開催予定ですので、そちらも是非遊びに来てくださいね。
#アイラブ打ち上げDJ @東京 中野 heavysick ZERO【12/9(土) 深夜 #異次元フェス アイドルマスター★♥ラブライブ!歌合戦 非公式打ち上げDJイベント】
という、超長文宣伝でした。おしまい。